様々なところで聞くようになった「クラウド」という単語。
あなたの勤める会社でも「社内サーバーをクラウド化する」なんて話が出てきていないでしょうか?
この記事ではクラウドについて、あまりパソコンに詳しくないパソコン初心者の方でもわかるように解説していきます。
クラウドとはなにか?
クラウドの意味
クラウドとは英語で「雲」という意味になります。
由来としてはネットワークを図解する際に、インターネットを雲の絵で表現を行っていたためだそうです。
システム自体を手元に置かずに、インターネット上に浮かばせておくようなイメージとクラウド(雲)がマッチしたのでしょうね。
仕組みをわかりやすく解説
クラウドというのはインターネットを介して、サーバーを操作しデータの保存・取得・編集を行うものになります。
サーバーというのは、要求されたデータを提供する機能を持ったコンピュータのことです。
このサーバーはGoogleやAmazonなどの企業が持っている、データセンターと呼ばれる施設内のサーバーにアクセスすることにより、まるでインターネット上へデータを保管・取得・編集をしているようなことを実現しています。
あなたの務める会社では「社内サーバー」というものが無いでしょうか?
そのサーバーにデータを取りに行ったり、保存したりすることがあると思いますが、イメージ的には同じで、社内サーバーをインターネット上に接続し、社外からも見られるようにしたようなイメージになります。
クラウドサービスとは何?
クラウドを使っているサービスのこと
クラウドの技術を使用して提供されているサービスを「クラウドサービス」と呼びます。
インターネット経由で利用するため、インターネットを利用できる環境であれば新たな設備投資をする必要は無く、クラウドサービスを提供している企業と契約し利用開始を行えば、すぐに利用できるようになります。
またサーバー設備を社内に設置する必要がないため、メンテナンス費用や故障の心配をすることもありません。
月々の利用料を支払えば良く、故障対応やメンテナンスの必要が無いクラウドサービスであれば、外出先でもアクセスできるため、在宅ワークなどが普及している最近では導入する企業が増えています。
パソコン初心者でも扱える
私の務める会社でも社内サーバーからクラウド化に移行したのですが、大変なのは社内サーバーにあるデータをクラウドに移行する最初の作業だけでした。
Excelで計算式を入れるのもままならない社員の方でも、現在では普通にクラウドを使用しています。
使いこなしているというよりも、データの置き場が社内サーバーからクラウドに変わっただけでクラウドのメリットを最大限生かしているわけではありませんが、通常業務に支障が出るようなことは発生していません。
クラウドを使っているという感覚はないのかも
安全性は大丈夫なのか?
クラウド化するとなると真っ先に出てくるのが、データの安全性の話ですが、結論から言うとクラウド自体は安全であるといえます。
データセンターはセキュリティが強固
クラウドの中枢を担うデータセンターは非常に強固なセキュリティがあり、保存されるデータは暗号化されており通常解読することは不可能です。
人の出入りもしっかり管理しており、おかしなことはできないような監視体制になっています。
データセンターは各地に分散してバックアップがとられており、どこかで災害が発生し一つのデータセンターが損壊したとしても、違う場所のデータセンターが無事であれば利用者はデータにアクセスすることができます。
データセンター自体もセキュリティの観点から、詳細な場所は公開されていません。
国内だと東日本と西日本でデータが分散されて保存されていたりします。
社内のセキュリティ意識が問題
安全性を保つためには、ある程度の情報セキュリティ教育が社員に必要になるかもしれません。
セキュリティ教育といっても、パスワードをパソコンに貼っておかないとか、怪しいメールは開かない、フリーWiFiの使用は控えるなどの基本的なものになりますので、それほど大きな心配はしなくても良いでしょう。
システム部門のような部署でできる事としては、社員の部署・役職によってアクセスできるファイルを設定することで、万が一にパスワードが漏れてしまったとしても、被害を最小限に食い止めることができます。
代表的なクラウドサービスを紹介
- Gmail
- Microsoft365
- AWS(Amazon Web Service)
- GoogleOne
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GoogleOneに含まれているGmailは、個人でも使用されている方も多いかと思いますが、これもクラウドサービスになります。
本来であればメールはパソコンにメールソフトをインストールして使うものですが、Gmailはブラウザ(GoogleChromeなど)を使用してGoogleのサーバーに接続することで、メールを使う事ができます。
また、Googleアカウントを作成すれば15GBまで無料でクラウドストレージを使用できるので、個人でも最も始めやすいクラウドサービスでしょう。
GoogleOneとは?【料金・容量・何ができる?】 最近では当たり前になってきたクラウドサービスですが、何を使用するか迷っていませんか? 今回はGoogleが提供している「GoogleOne」というクラウドサービスについ… - Microsoft365
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Microsoft365はExcelやWordなどのOffice系のソフトをクラウドで操作できるため、Gmailと同じくブラウザを使用してオンライン上でExcelや Wordを編集する事ができます。
Outlookもありますので、Gmailと同じようにソフトをインストールしなくてもブラウザ上でメールの送受信が可能になります。
ただし、インストールして使うものとは使い勝手が違うので注意です。
- AWS(エーダブリューエス)
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Amazonが運営しているクラウドサービスで「Amazon Web Service」の略称になります。
GmailやMicrosoft365はパソコン初心者でも扱えるものですが、AWSは少しハードルが高く知識がないと使えないと思って良いものです。
個人で使うというよりも、企業などの団体が使う事が多いクラウドサービスです。
SaaS・PaaS・IaaSについて簡単に解説
クラウドサービスについて調べていると、SaaS・PaaS・IaaSという単語が出てくると思いますが、これらは以下のような意味になります。
- SaaS(サースまたはサーズ)
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「Software as a Service」の略称で直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」となります。
これはクラウドを保有している企業と契約し、その企業が持っているクラウドサーバー内で動いているサービスを使用できるようになるものになります。
クラウド上にあるメールソフトやエクセルなどを使用できる、「GoogleOne」や「Microsoft365」はビジネスや個人でも使う代表的なSaaSです。
私のようにブログをやっている方であれば「Amebaブログ」や「はてなブログ」なども、よく使われるSaaSのクラウドサービスになりますね。
- PaaS(パース)
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「Platform as a Service」の略称で直訳すると「サービスとしてのプラットホーム」となります。
SaaSと同じようにクラウドを保有している企業と契約し、その企業のクラウドサーバー内で動いているソフトを使用できるものになりますが、大きな違いはサービス自体は提供してくれないということです。
SaaSの場合はクラウドを使用して提供されるサービスを使うものでしたが、PaaSの場合にはOSやデータベースなど基本的なソフトが使用できるだけでサービス自体は提供されません。
そのため、Webサービスを立ち上げたい企業や研究などに使用したい団体が、OSのインストールやデータベースのインストールなどを1から行わなくてもよい環境を提供しているのがPaaSです。
独自ドメインで個人ブログを立ち上げる場合でも、エックスサーバー
のようなPaaSを使用します。 - IaaS(アイアース)
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「Infrastructure as a Service」の略称で直訳すると「サービスとしてのインフラストラクチャ」となります。
インフラストラクチャとは「インフラ」と呼ばれるもので、サーバー自体やストレージ、ネットワークなどのハードウェアを指します。
そのためIaaSはクラウドサーバーの機器やストレージ、ネットワークを使うことができるサービスになります。
OSも何も入っていないパソコン本体を使うような状態です。
クラウドのメリット・デメリット
クラウドのメリット
- どこにいてもアクセスできる
- 機器のメンテナンスが必要ない
- データの共有が行いやすい
- 容量の拡張が簡単にできる
- 初期投資が必要ない
- どこにいてもアクセスできる
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クラウドはインターネットを経由して、クラウドサーバーにアクセスし使用するサービスです。
そのため世界中のどこにいても、インターネットに接続しクラウドサーバーにアクセスすることができれば、データを見ることができます。
在宅ワークの推進など場所にとらわれない働き方を目指す会社などでは積極的に取り入れられています。
- 機器のメンテナンスが必要ない
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クラウドであれば自社にサーバーを設置して運用するということが無くなりますので、サーバーのメンテナンスが必要なくなります。
自社サーバーを設置する場合、そのための部屋が必要であったり、温度管理や停電時の対応、バックアップなど様々な運用での負担がありますが、クラウドであればそれらは全てクラウドサービスを運用している会社が行ってくれます。
故障時でもクラウドサービスであれば、システム自体にバックアップがありますので、我々ユーザー側からは故障したことにも気づかないで使用し続ける事が可能です。
- データの共有が行いやすい
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元々クラウドサーバーにあるデータを、インターネット経由で持ってきている仕組みなので、社内などでのデータの共有が行いやすいです。
データ保存先のリンクを送れば見られるようになりますので、大きなデータのやり取りを行う必要も無くなります。
またインターネットさえ繋がれば、スマートフォンやタブレットなどでも同じデータを共有する事ができるようになります。
リモートでの会議などで、1つのファイルを参加者で同時に見ながら編集していくような使い方もできます。
- 容量の拡張が簡単にできる
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自社でサーバーを設置する場合には機器を買ってきて設置するため、あとからストレージなどの容量を増やしたいとなっても高額な機器が必要になったり、取り付けのために時間もかかります。
しかし、クラウドサービスの場合には契約内容を容量の大きなものに変更するだけで、時間もさほど掛からずに容量を増やすことができます。
もちろん、容量が増えることで定額料金は増えるでしょうが、自社サーバーとは異なり大きな設備投資は行わなくて済みます。
- 初期投資が必要ない
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自社サーバーを設置する場合、サーバー本体の代金だけでなく、設計費用やLANケーブル・設置費用などで、数百万円という大きな設備投資が必要になります。
また、設置するための場所も必要になりますし、メンテナンスをする人材・費用も必要となります。
クラウドサービスの場合であれば、定額料金を支払うことでサーバーを手に入れることができるため、一度に大きな設備投資は必要ありません。
また、サーバー設置に必要な場所の確保やメンテナンスをする人材も必要ないため、初期投資のみならずランニングコストも抑えられます。
クラウドのデメリット
- インターネットが必須
- 障害が発生するときがある
- 機能が制限される
- インターネットが必須
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クラウドサービスはインターネット経由で使用するものなので、インターネット環境がない場所では使用できません。
現代あればインターネット環境がないオフィスというのはほぼ無いと思われますが、通信速度が著しく遅くなる時があるなどネット環境が安定しない状況の場合は、クラウド導入を見直すかインターネット環境の改善が必要になります。
ここのサイトにアクセスすると通信速度が測定できます→インターネット回線の速度テスト | Fast.com
- 障害が発生するときがある
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クラウドサービスを運営している企業は日々利用者に快適に使ってもらうように努力はしていますが、たまに障害が発生することがあります。
クラウドサービス側で障害が発生すると自社ではどうにもすることができないため、復旧することを待つだけになってしまいます。
その間は何もできなくなってしまうため、損失を生んでしまう可能性はあります。
ただ、これは自社にサーバーを設置した場合でも発生する可能性はありますので、クラウドの問題というわけではないでしょう。
全ての機能が使い物にならなくなるような障害はほぼ発生しません。
- 機能が制限される
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自社サーバーを設置する場合には、あなたの会社に合った性能のオーダーメイドで作ることができますが、クラウドサービスの場合には、基本的に用意されているサービスの中から選ぶことになります。
そのため、特殊な業界などの場合には最適なクラウドサービスが見つからない場合があるので注意です。
クラウドについてのまとめ
クラウドについて、できる限りパソコン初心者の方でもわかるように解説してみました。
社内サーバーを設置するよりも、クラウドにした方が初期投資は少なく済みますし、場所も取られずランニングコストも少なくなるのではないかと思います。
実際に私が勤めている会社でもMicrosoft365を使用していますが、今まで社内サーバーに保存していたデータがクラウドに保存されるようになり、機械故障によるデータの喪失リスクがなくなりましたので非常に安心です。
出先でも社内と同じようにデータにアクセスできるので便利です。
クラウド化という慣れない言葉を聞くと躊躇してしまうかと思いますが、悪い方向に転ぶことは無いと考えています。
ぜひクラウド化を進めてみてはいかがでしょうか?